使用者が労働者を解雇(懲戒解雇を除く)する場合、原則として少なくとも30日前に予告するか、または30日分以上の平均賃金(解雇予告手当という)を支払わなければなりません。
ところでこの平均賃金ですが、具体的な計算の仕方をご存じでしょうか。
そこで今回は平均賃金の計算方法を取り上げてみたいと思います。
1.平均賃金の計算方法
平均賃金は文字通り賃金の平均額ですが、労働基準法に具体的な計算方法が定められています。
【労働基準法】
第12条 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。
2 前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。(筆者一部修正)
上記条文のとおり、平均賃金は直近3か月間の賃金額面合計を当該3か月間の暦日数で割って算出した金額となります。なお、第2項の条文のとおり、賃金締切日がある場合は直近の賃金締切日から3か月さかのぼって算出することになります。なお、平均賃金の計算の基礎には基本給のみでなく、各種手当や残業代、通勤手当なども含めますが、賞与などは含めないことになっています。
2.具体的な計算例
平均賃金額について具体的な例でご説明いたします。
【具体例】
解雇通知日が11月28日、賃金は毎月20日締・当月末日払とします。
この場合、算定すべき事由の発生した日は11月28日となり、直前の賃金締切日は11月20日となります。
この場合、算定すべき事由の発生した日は11月28日となり、直前の賃金締切日は11月20日となります。
なお、直前3か月間の賃金額は下記のとおりです。
期間:8月21日~9月20日(この期間の総日数:31日)
賃金:基本給20万円+残業代5万円+通勤手当2万円=合計27万円
期間:9月21日~10月20日(この期間の総日数:30日)
賃金:基本給22万円+残業代8万円+通勤手当2万円=合計32万円
期間:10月21日~11月20日(この期間の総日数:31日)
賃金:基本給22万円+残業代8万円+通勤手当3万円=合計33万円
合計期間:8月21日~11月20日(この期間の総日数:92日)
賃金の総額:92万円
労働基準法の規定に基づき計算すると、平均賃金=(92万円÷92日)=1万円 となります。
これにより、解雇通知日の11月28日に労働者を即日解雇する場合であれば、解雇予告手当として平均賃金の30日分(30万円)を11月28日当日に支払うことになります。
3.平均賃金の算定から控除するもの
平均賃金を計算するにあたり、下記のものは控除することになっています。
(1)総日数と賃金の総額の両方から控除するもの
1:業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間
2:産前産後の女性が休業する期間
3:使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
4:育児介護休業期間
5:試用期間
(2)賃金の総額のみから控除するもの
1:臨時に支払われた賃金(私傷病手当等)
2:3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(年2回の賞与等)
3:通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの
4.まとめ
平均賃金は、解雇予告手当のみではなく、会社都合で休業させた場合の休業手当、年次有給休暇中の賃金、災害補償、減給の制裁の制限などの場合にも使用する金額となります。なお、賃金が時給や日給または出来高払制、請負制もしくは日雇労働者である場合は、計算で求めた平均賃金が不当に少なくなる場合があるため、最低保障額の特例が定められています。
