9月中はまだ暑い日が続いていましたが、10月に入りようやく朝夕が涼しくなり、秋の風を感じられるようになりました。
今回は相続税や贈与税について、複雑な税制の取り扱いではなく、原則的な考え方で勘違いをしてしまうケースを紹介していきます。
1.生前贈与した財産は相続税の対象外となる
生前贈与した財産は相続税の課税対象外となり、相続税対策に有効だと思っておられる方がたくさんおられます。
あながち、間違いではありませんが、次の2点への注意が必要で、ケースによっては相続税対策に十分な効果が生じない事もあります。
(1)生前贈与加算期間に注意
暦年課税の贈与財産については、「生前贈与加算」の適用があり、亡くなった人の死亡前3年以内に相続人から贈与を受けた財産は、相続税の課税価格に加算しなければならない事は、多くの方がご存じですが、税制改正により令和6年1月1日以後の贈与から最長7年まで加算期間が延長されていますので、4年前や5年前でも贈与した年度によって加算されるケースがあります。
(2)110万円の基礎控除額以下でも注意
贈与税の基礎控除額110万円以下で生前贈与をされる方をよく見かけますが、110万円以下であっても、3年以内生前贈与加算の適用対象となります。
つまり、110万円以内の贈与を繰り返しても、3年以内(改正に注意)なら、例え100円でも相続税の課税対象となります。
2.相続税がかからなければ申告しなくてよい
相続税の規定に基づき相続財産(相続時精算課税や生前贈与加算を加味)から債務及び葬式費用を控除した額が、相続税の基礎控除額以内であれば、相続税の申告も納税も必要ありませんが、「小規模宅地等の特例」や「配偶者軽減」を適用した結果、相続税がかからないような場合には、申告が必要です。
例えば相続人が配偶者のみで、相続財産が1億6千万以下の場合であって、相続税が発生しないケースでも申告する必要があります。
◎「小規模宅地等の特例」や「配偶者軽減」の特例措置は相続税の申告書を提出しなければ受けられません。
3.遺産分割協議がまとまらない場合はどうするのか
相続について、具体的な財産の分割、「誰が何を相続するのか」が定まらないケースもあります。次の3点のポイントを踏まえて、相続税の申告を進めて下さい。
(1)申告期限は10ヶ月
相続税の申告と納税の期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内です。遺産分割がまとまっていなくても、この期限に変わりはありません。
この場合には未分割遺産として、被相続人の財産を法定相続人が法定相続分で相続したものとして、相続税の計算を行います。よくあるケースでは、相続人間での意思疎通ができず、相続財産の把握が困難な事や、財産を取得する予定のない相続人も一旦相続税を納めないといけない事があります。
(2)特例が適用できない
上記2で説明しました「小規模宅地等の特例」や「配偶者軽減」の特例措置が利用できませんので、税額が高額になります。
(3)その後遺産分割協議がまとまった
相続税の申告期限までには、遺産分割協議がまとまらず、未分割財産として一旦申告を終えた後、分割がまとまった場合には、分割がまとまった内容に沿って、相続税の再計算を行います。その結果、特例措置が適用できる場合もありますので、各人の相続税が当初申告と変わる可能性があります。
つまり、再計算の結果、追加で納税する方や税金が還付される方がおられますので、通常よりも複雑な手続きをする必要があります。
