(従業員数10名~100名程度の)小規模企業における経費精算システムの選び方
経費精算システムは、近年電子帳簿保存法やインボイス制度の導入を契機に急速に普及しました。
特に、規模の小さな中小企業においては、導入にあたり相談できる宛もないまま、最初に問い合わせしたベンダーの営業攻勢に押され、そのまま契約してしまったケースも多く見られます。
一般的に、デジタルツールには、開発元なりのターゲットや価格設定があるものです。
そこから外れてしまうと、不要な機能がついたサービスを割高な料金を払って利用する(オーバースペック)という事態や、反対に機能が足りない、他社製品では標準でできることを、エクセルやその他外部ツールを駆使して不要な手間をかけて使う、などと言ったことが起きがちです。
本ページでは、改めて当社のお客様である「中小企業」とりわけ「小規模企業」に特化した経費精算システムの選定のポイントをお伝えします。
このページの目次
【ポイント1】費用は重要です
価格帯、料金帯が自社に合っているか?
シンプルに「CMや広告で見た」とか「知名度がある」だけで選んでしまうと、正しい比較ができません。
複数の経費精算システムを比較し、手間を惜しまず見積もりを取ることをお勧めします。
しかしながら、経費精算システムのようなクラウドサービスは、よっぽど多数の(100を超えるような)ID数が無ければ、競合させても、合い見積もりをさせても、値段が下がることはありません。
そのため、元々設定されている料金体系を把握することが大切です。
多くのシステムベンダーは、価格の問い合わせをきっかけに営業活動が開始され、提供した情報を元に電話やメールがひっきりなしにやってきます。
複数メーカーを比較しなければならないことは分かりつつ、忙しい中、営業を受けることが嫌で複数社の比較を避ける担当者様も多くいらっしゃるのが現実です。
一括比較サイトなどを利用してしまうと、大企業向けサービスのセールスに時間を取られるなど、互いにとって不毛な時間を消費してしまいます。
ミモザでは、代表的な3社の最低契約料金を明示していますので、参考にしてください。
ランニングコストに注目
クラウドサービスは、利用料金型、サブスクリプション型と言われる料金体系を取っているため、毎年利用料がかかり続けます。
初年度の導入費用の比較も大切ですが、毎年の利用料の比較が特に重要です。
比較条件を揃えるために、5年間の総コストで比較するのが有効です。
見積の中で毎年かかるコストだけをピックアップし、5倍にして比較すると良いでしょう。
【ポイント2】自社の運用に必要な機能が付いているか?余分な機能が付いていないか?
ベーシックな機能だけあれば充分
経費精算サービスには、多種多様な機能が搭載されていることが通常です。
ただ、小規模企業の現場では、解決したい業務課題はシンプルであることが多いです。
あれもこれもと論点を追加されると目移りしてしまいますが、実現したい事柄を列挙し「それが叶うか?」の視点だけで比較することをお勧めします。
ベーシックな機能とは?
- 従業員の経費精算機能、承認のワークフロー
- 従業員側の画面の操作感、ヘルプなどユーザー補助機能の充実度
- 連携できるシステムの差異(会計ソフトとの相性など)
- 使い始めるまでの伴走支援の手厚さ(サポート体制)
発展的な機能(オプション)とは?
あったら便利だが、なくても目的が果たせる機能については、オプションとなっているケースが多いです。
オプションの利用には別途費用がかかるため、導入の是非は慎重に見極めましょう。
- 画像としてレシートや領収書を取り込んだ際の、文字起こし機能(OCR)
- 乗換案内など外部システムやサービス、交通系ICカードやクレジットカードの情報取得・連携
- 会社宛て請求書の受領~保管と支払い処理
- 電帳法対応、インボイス制度対応
特に電帳法対応に関しては、経費精算システム単独で全社の法対応をすべて叶えることは困難です。
税理士・会計士とのコミュニケーションも必要ですので、検討事項が増えていきます。
導入初期はあえて機能を絞り、必要性を見極めてから徐々に拡張することもできます。
「サポート」という機能
様々な経費精算システムがありますが、経費精算という業務目的が共通である以上、細かな部分はともかく、基本的な機能の面では大きな差がないのが実情です。
一方、いざ利用を始めた後の伴走体制、導入初期の指導や設定の手伝いだけでなく、導入後、軌道に乗った後も発生する様々な確認事項や質問に対して応える体制があるかどうかは、確認しておきたいポイントです。
ただ、一概に手厚ければ良い、というものでもありません。
いつでも聞けるコールセンターは便利ですが運営面では高コストで、必ず利用料に跳ね返ります。
また、導入にあたって人的支援を受けるメニューは有償でしかも高額な場合がほとんど。
トライアル(体験)の段階では、提供されている画面やヘルプ等自社に必要と思われるサポートの質と量をイメージし、提供されているかを確認してください。
具体的には、ヘルプや資料等を活用することで独力での導入できそうか?サポートはチャットのみの提供であっても妥協できそうか?全然わからないから電話で聞かないと苦労しそうだな?など、システムに抱く印象を記録しておきましょう。
【ポイント3】自社の規模感に見合ったシステムか?
企業の規模や業種に応じたシステムを選ぶことが重要
経費精算システムと一口に言っても、開発時にターゲットとしている企業規模は千差万別です。
また、システムベンダーごとに、営業上の強みや弱みも抱えています。
例えば、自動車を買う時に、日常の買い物などに使う家族の足という用途でバスを買ってしまう、などという事は考えにくいのですが、形のないシステムではそれが起きてしまいます。
ネットで検索すれば、大企業向けも中小企業向け零細企業向けも、全て一緒くたに表示されてしまうことから起こりがちな現象です。
システムの対象企業規模を知るには、契約ライセンス数の下限に注目!
意外にも「最低利用人数」にはシステムによって大きな差があることが多いです。
5人、10人……50人からのシステムもあります。
当然、利用しない人数分のライセンスはシステム利用料に跳ね返り、かつ無駄なコストになりますから、真っ先に着目したいポイントです。
何人単位での増減に対応できるか?
この「刻み」についても、1名、5名、10名と差がありますので、確認したいポイントです。
一方、1名単位で合わせようと頻繁に契約更改するのにも、それなりに手間暇がかかってしまいます。
社員の入退社が頻繁にある職場の場合、急な増員に備えるために数名分は余剰のアカウントを持っておくことも必要です。
【ポイント4】現有の会計ソフトとの連携に問題はないか?
データをそのまま(無加工で)持って行けるか?
経費精算システムを利用する目的の一つが、経理部門における手入力の排除です。
それが叶うかを左右するのが、現有会計ソフトとのデータ連携の可否です。
ほとんどの経費精算システムで、「多種多様な会計ソフトと連携する」と謳っていますが、その内実、程度は様々です。
連携予定の会計ソフトの仕訳テンプレートがあらかじめ備わっているか、すなわち無加工でそのまま自社の会計ソフトへ取り込める仕訳データが出力できるか、という粒度で確認しておいた方が良いでしょう。
API連携と言われる、データの出力・取込の手作業を伴わずとも連携できる場合は、一層効率的です。
データの受け渡しに際してエクセルでの加工が必要だったり、自社の会計ソフトが対応から漏れていたりすると、導入効果が大きく損なわれてしまいますので注意しましょう。
今使っている会計ソフトに、汎用データの受け入れ機能があるか?
会計ソフト側にCSVなど汎用テキスト形式の受け入れの機能が付いているかは事前に確認してください。
同一メーカーでも、下位グレードの場合は汎用データの受け入れ機能が搭載されていないケースもあります。
会計ソフトの仕様に関して不明瞭な場合は、複数メーカーの会計ソフトを販売している「業務ソフト専門店」の当社・ミモザ情報システムにぜひご相談ください。