【法人向け】マネーフォワード クラウド会計と会計王の比較
2024年12月25日更新
クラウド型会計ソフト「マネーフォワードクラウド会計」とオンプレミス会計ソフト「会計王」。
中小企業で導入するならどっちがいいの?歴史のある「会計王」?それとも比較的新しい「マネーフォワードクラウド会計」?
そんな疑問にお答えすべく、業務ソフト専門店・ミモザ情報システムが、その違いを徹底解説します。
このページの目次
ざっくり言うと
マネーフォワード
いわゆるクラウド型会計ソフトです。データはネット上(マネーフォワードのサーバ上)にあるので、ネット環境さえあれば、いつでもどこでも使えます。
また、インターネットブラウザを利用して仕訳の登録や帳簿の確認を行うため、インストールが不要。
パソコンはWindowsのみならず、Macでも同じようにご利用いただけます。
従来の会計ソフトの概念では当たり前だった「仕訳の手入力」を極力少なくすることを目指し、金融機関やクレジットカード、電子マネー、通販サイトなど連携するサービスが豊富に用意されているのも特徴のひとつ。
これらを積極的に使うことができれば、業務の大幅な効率化を実現できる可能性があります。
【動画 3分】マネーフォワードクラウド会計の概要
会計王
パソコンにソフトをインストールして利用するオンプレミス型の会計ソフトです。
データはそのパソコン内にあるため、利用できるのはインストールしたパソコンのみです。
一般的には、クラウド型ソフトよりも動作が軽いと言われており「勘定科目コードを覚えてキーボードを使ってどんどん入力する」といった仕訳入力には向いています。
買い切り型のソフトという点も、利用期間に応じて使用料が発生するサブスク型料金への抵抗感が強い方には好まれます。
【動画 47秒】ソリマチ会計王の概要
それぞれの製品の開発コンセプト
これより、会計ソフト専門店の視点から掘り下げていきます。
マネーフォワードのコンセプト
お金と前向きに向き合い、可能性を広げることができるサービスを生み出すことを使命に掲げる株式会社マネーフォワード。
マネーフォワードクラウドは、2013年11月にリリースされたクラウド型会計ソフトで、40年近い歴史のある業界の中では後発のベンダーです。
主力の会計サービス「マネーフォワード クラウド会計」のコンセプトの核は『企業のあらゆる入出金に係るデータを集約するプラットフォーム(土台/受け皿)』です。
具体的に、マネーフォワードクラウド会計で仕訳データを作成するまでの大きな流れは下記のとおりです。
- 事前登録した銀行口座やクレジットカード会社、様々なネットサービスの入出金や利用情報をシステムが自動的に取得し
↓ - 明細に含まれる取引相手等の情報を解析して「仕訳候補」として提示し
↓ - 担当者は候補データを適宜確認・修正し、取引データとして確定させる
また、紙の請求書等はスマホカメラやスキャン画像として取り込むことで画像を解析し、金額や科目を推測してデータに起こします。
候補データを確認し、確定させる処理は連携データ起点の2.3.と同様です。
一方、従来の会計ソフトで仕訳データを作成する流れは下記の要領でした。
- 会社に届く紙の取引証憑を収集し
↓ - 目視の上会計ソフトに手入力し
↓ - 入力ミスがないか照合する
単純に、手入力を排除することによる作業工数の削減や、手入力起因のミス、それを防ぐための照合作業に要していた手間暇を大きく削減できる点が、大きなメリットとなります。
ただし、こうした自動入力の機能が充実している分、操作感や手順に従来の会計ソフトと異なる部分も多く、非クラウド型の会計ソフトに慣れている人ほど、戸惑いを覚えることも多いでしょう。
会計王のコンセプト
松岡修造氏をイメージキャラクターに迎えていることでもお馴染みのソリマチ株式会社。
設立は1972年(当時の株式会社ソリマチコンピューターサービス)と、歴史のある業界の中でも老舗のソフトメーカーです。
会計ソフト「会計王」は、1995年に発売され、累計出荷本数は200万本を突破。長きにわたり多くの方に利用されています。
会計王のコンセプトは『初心者でもかんたん、あんしん、使いやすい』。
業種を選ぶだけで自動で初期設定ができる「業種別テンプレート」やシンプルで直感的な見やすい画面など、会計王をはじめて使う方はもちろん、会計初心者にもやさしいソフトで、中小企業をはじめ、個人事業主にも導入事例が多いソフトです。
手入力で仕訳データを作成することを想定しているので、入力のしやすさには定評があり、経理業務に長く従事されている方にとっても、馴染みのある操作感です。
また、近年ではクレジットカードや銀行と連携して帳簿入力の自動化できる「MoneyLink」や、ソフト終了時に自動でバックアップをしてくれる「安心データバンク」など、時代にあわせた改修や機能追加を続けているので、それらをうまく使うことでさらなる業務の効率化を図ることも可能です。
ただし、会計王はあくまでもオンプレミス版。
インストールしたWindowsパソコンでなければ使えないので、自宅や外出先での確認ができない、テレワークへの対応ができない、Macパソコンにはインストールできないなど、オンプレミス版の制約が経理業務DX化実現のネックになることもあるかもしれません。
発展性/拡張性の比較
将来的な成長に際し、どう対応するか?という観点から比較します。
マネーフォワード
- ライセンス数(利用者数)を増やして対応することで同じサービスを利用可能 ※従量課金制
- 個別のカスタマイズなどはせず、業務プロセスをシステムに合わせながら、扱う情報量を増やし規模を拡大させていく考え方
- 一定規模を超える場合には、内部統制に関する機能を付加した「会計Plus」に移行
会計王
- 柔軟な部門設定や、連続5期にわたる経営分析などの機能を有しているので中小企業の規模であれば成長後も使い続けていくことができる
- 担当者が増えた場合も、パソコン3台までであれば簡易ネットワーク環境に対応。さらに台数を増やしたい場合はLANパックを利用し本格的なクライアント・サーバーシステムでネットワークを構築することも可能(ただしある程度、専門的な知識が必要)
- それでも会計王での運用が難しくなったら(本社と営業所など、離れた拠点間にいる複数人での運用や他社クラウドシステムとの連携など)、さらに大規模な事業者向けのソフトへ入れ替える
会計以外の業務領域をどうするか?
一般論としては、会計と、給与計算や販売管理など他分野の業務ソフトのシリーズ/ベンダーを揃えると、仕訳データを無加工で取り込めたり、そもそもデータの入出力操作をせずとも連携したりするので非常に便利です。
マネーフォワード
大きな拡張性が特徴で、会計を中心に、経費精算、請求書の発行、人事労務領域の勤怠管理、給与計算、年末調整などのサービスもラインナップされており、必要に応じて利用できます。
特に経費精算や人事労務領域のソフトが充実しており、基本料金内で5名までの経費精算、勤怠管理や給与計算ができます(それ以上増やす場合は従量課金)。
会計王
給与計算、販売管理についてはシリーズで「給料王」「販売王」がラインナップされています。
別途ご購入や設定は必要ですが、スムーズなデータ連携が可能です。
経費精算や勤怠管理などについては同メーカー(ソリマチ)が提供するサービスはありません。
会計王と連携可能な他社サービスを導入することになります。
職業専門家(税理士/会計士)との付き合いを考える
中小企業の経理の現場では、決算・申告業務は(場合によっては月次決算や記帳そのものも)外部の税理士にアウトソース(委託)するのが一般的です。
その場合は、顧問契約を結んでいる専門家が自社の使用するシステムに対応しているか、事前に確認しておきたいところです。
場合によっては、過去に顧問税理士から指定があったために現在のソフトを使っている、という経緯があるかもしれません。
マネーフォワード
会計ソフトとしては後発のため、対応している専門家は相対的に少ないのが実情です。
このため、ずっとお世話になっている顧問先では対応できないと言われてしまうケースは考えられます。
しかし、マネーフォワードでは登録税理士のネットワークがあり、全国規模で見渡せば22,000名以上の税理士事務所で対応しています。
個人事務所から大手税理士法人まで幅広く登録されており、当社およびマネーフォワード株式会社からご紹介することもできます。
近くに対応する事務所が無くても、クラウドサービス全盛の時代ですから、リモートミーティングツールやリアルタイムでデータ共有ができるクラウド会計の強みを活かし、遠隔地からのサポートを行う事務所も多くあります。
会計王
歴史のあるソフトゆえ、対応している/経験のある税理士事務所は多数あります。
顧問契約を結んでいる専門家がある場合ご確認いただく必要はありますが、あまり心配する必要はないでしょう。
また、新たに税理士を探す場合には、ソリマチ株式会社に紹介を依頼することもできます。
保守・サポート体制の比較
そもそも、保守・サポートとは何か?
ソフトウェア業界において「保守」とは、事前に約束した条件(動作環境)の下、ソフトが正常に作動することを担保し、必要に応じてプログラムを修正・更新していくサービスのことを指します。
特に業務ソフトにおける保守は、消費税率の変更やインボイス制度の導入など、法令改正等によりルールが変わることに対して適応していくことも含まれます。
また、サポートとは、ソフトの操作に疑問が生じた際に、電話やメール、チャット等により、その疑問を解消するべく相談対応を行うサービスを指します。
これは、必ずしも有人対応とは限らず、製品に付属のマニュアルやQ&Aを参照したり、最近ではチャットボットによる案内も含まれてきます。
クラウド型のマネーフォワードクラウド会計には保守・サポートにかかる費用は、利用料金に含まれていますが、会計王は「ソリマチバリューサポート」という保守サービスを別途契約する必要があります。
マネーフォワード
マネーフォワードのサポート一番の特徴は、「電話によるサポートがない」ことです。(個人事業主向け確定申告サービスを除く)
元々電話窓口の設置がないため、この点はあきらめるほかありません。
代わりに、チャットサポートを受けることができます。
基本はチャットボット(無人対応)ですが、平日のオフィスアワーの間は、有人チャットを呼びだすことができます。
会計王
先述の通り、「ソリマチバリューサポート」という保守サービスを別途有償契約する必要がありますが、マネーフォワードにはない電話でのサポートも含まれます。
電話以外にも、メール・チャット・FAXなどにも対応。状況や内容にあわせて、様々な手段で問い合わせることができる点は安心感があります。
また、クラウド型ソフトと異なり、バージョンアップや法令対応プログラムが自動で適応されないため、それらの提供も保守サービスを契約している方のみに提供されます。
それぞれの製品のコスト比較
会計王は購入して所有できる従来の「買い切り型」、マネーフォワードは定額を支払いその期間サービスを利用できる「サブスク型」と料金体系が異なるため単純な比較はできません。
一般的に買い切り型は一度購入してしまえば、追加の費用は不要となる点がメリットと言われていますが、業務ソフトを継続して使い続けるにはバージョンアップや法令改正に備えた保守サービスへの加入が避けられません。
サブスク型は料金の支払いを停止するとサービスの利用ができなくなりますが、利用し続ける限り常に最新の状態が保証されます。また、保守費用も含まれているためその他の費用は発生しません。
どっちがいいの?といった疑問はよく耳にしますが、一長一短、一概にどちらがいいと言い切ることはできません。
マネーフォワードの料金体系
マネーフォワードクラウドは、毎年年間利用料を支払う「サブスク型」の料金体系です。
会計だけでなく経費精算、請求書の発行、3名までの勤怠管理、給与計算なども利用できます。
初期費用は0円で、法人向けは2つのプランが用意されています。
ざっくりいうと、社員数3名までの会社はスモールビジネスプラン、それ以上の会社は拡張性のあるビジネスプランをおすすめしていますが、会計のみを利用かつ担当者が3名までといった場合はスモールビジネスプランで間に合う場合もあります。
詳しくは「スモールビジネスプランとビジネスプランの違い」をご覧ください。
- スモールビジネスプラン:39,336円/年~
- ビジネスプラン:65,736円/年~
※2024年12月25日時点の料金です。変更になっている場合がありますので目安としてご覧ください。
現在の販売価格は「ビジネスプラン」「スモールビジネスプラン」をご確認ください。
利用料の中にソフトの保守料(アップデート、法令改正)が含まれ、ベンダー側の責任で更新されていくため、最新の状態を一定の金額で利用し続けることができます。(ベンダー側の料金改定がない限り)
会計王の料金体系
従来型の「買い切り型」ソフトで、インストール台数に合わせた商品が用意されています。
初期費用としてソフトの購入費用、ランニングコストとして年間保守契約費用が必要です。
保守契約なしで利用することも可能ですが、度重なる法改正や、Windowsの自動更新に伴う不都合に備えるため、当社では年間保守への加入をおすすめしています。
ソフト新規購入・年間保守への加入のどちらも、利用するパソコンの台数により料金は異なります。
(4台以上で運用する場合には別途サーバーを用意する必要があり、費用以外にも専門的な知識が必要となるためここでは割愛します。)
【ソフト新規購入】
- スタンドアロン(1台):44,000円
- 2ライセンスパック(2台):99,000円
- 3ライセンスパック(3台):132,000円
+
【バリューサポート(年間保守)】
- スタンドアロン(1台):38,500円/年
- 2ライセンスパック(2台):52,800円/年
- 3ライセンスパック(3台):59,400円/年
※2024年12月25日時点の料金です。変更になっている場合がありますので目安としてご覧ください。
うちの会社に合うのはどちら?
それぞれの製品・サービスの特徴を勘案しつつ、企業像に当てはめてみます。
マネーフォワードをお勧めする企業像
- 会計だけでなく、社内全体のDX化を進めたい
- バックオフィスについては、複数の経理・事務スタッフで分業体制を敷いている、あるいは敷いていくことを想定している
- Macのパソコンを使用している
- リモートワークを実現したい
- サーバー管理やセキュリティ対策などの専門知識を持つ人材がいない
会計王をお勧めする企業像
- インターネットに接続していないパソコンを利用している
(ただし、自動バックアップなど、インターネット接続が必要な一部機能は使用できません) - 電話でのサポート窓口が必要
- 経理担当者は1名のみで、今後増える予定もない
- 導入、運用について、ある程度自身で調べて実行できる人材がいない
一般論にあまり意味はない
マネーフォワードと会計王を比較してきましたが、一概に「こちらがいい!」と言えるものではありません。
自社の実情を踏まえて、その課題が解決できるサービスを選択することが、何よりも大切。
大枠の違いを押さえたら、あとは実際に触って体験してみるのが一番です。
どちらも無料でお試しいただけるサービスがありますので、ぜひ当社までご相談ください。