インクジェットプリンタを知る
さて今回は、インクジェットプリンタについて詳しく観察しようと思います。
インクジェットプリンタは、レーザープリンタに比べて「色の再現性」が高いと言われています。
再現性とは、カメラで撮影された画像が、印刷物上でどの程度正確に表現(再現)されるか、という性質のことです。
え?
同じ画像のデータを使うなら、パソコンの画面も、印刷した写真も、一緒じゃないの?
そう思いませんか。
光と色の3原色
パソコンの世界では、色の表現方法が大きく二つあります。
1.光の3原色(RGB)と、
2.色の3原色(CMYK)です。
デジカメで撮った画像そのものや、それを見るパソコンの画面は、光の情報です。
画素(ピクセル)と言われる一つひとつの点毎に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色それぞれ256階調の強弱で組み合わせ、色を定めています。
参考までに「R255、G128、B0」で、オレンジです。
様々な色のついた画素が、たくさん集まって出来たのが画像です。
さて、ここまでは「光の」3原色の世界。
これに対して一般的な印刷の世界は「色の」3原色で表現されています。
(インクジェットプリンタも、レーザープリンタも一緒です)
と言うのも、印刷物、多くは紙だと思いますが、紙自体は光を出しませんから、外の光で照らさないと(暗闇では)見ることができません。
自ら光るものは「何色の光を放つか」という情報を持てば良いのに対し、印刷物は、紙に刷り出すインクの色味で画像を表現する事になります。
このため、印刷用のデータは、画素の中にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)それぞれのインクの濃度を100階調で組み合わせた情報を持ちます。
例えば「C0、M60、Y100、K0」で、オレンジです。
3原色なのに、4色目の黒を含めるのは、カラーの3色を足しても、あまりきれいな黒にならないからです。
(光の3原色から色の3原色、すなわち印刷用データへの変換は、プリンタへの印刷指示を出したとき、自動的に行われます。)
また、インクの濃度と言いましたが、実際の印刷の世界では、インクの濃度は加減できないため、色の「点」の大きさによって表現します。
すなわち、薄い色はまだらに、濃い色は隙間なく塗る、ということになります。
この色の点は等間隔で並んでいますので、印刷業界の方は「アミ点」と呼んでいます。
試しに、身近な雑誌や広告チラシに、目を極端に近づけて見てください。
薄いピンク色やグレーのところを覗くと……白とマゼンタまたは黒の網目のようなパターンがお判りいただけるでしょうか。
家庭やオフィスのプリンタでも同じで、淡い色を表現するときは、インクを薄めるのではなく、間隔をあけて薄く見えるようにしているだけです。
色域について
実は、光の3原色の方が、再現できる色の範囲(色域)が広くなっています。
例えば、オフィスソフトなどで蛍光緑や蛍光ピンクのような色を使うと、印刷時にあれ?こんなにくすんでいたっけ?と思う時があると思います。
他にも、よくあるのは、虹のイラストを入れたお手製のチラシ、鮮やかな青い空の画像、ショッキングピンクのTシャツを着た彼女の写真、など。
パソコンでカラー印刷をした方は、どなたでも、あれ?なんか違う……と思ったことが、一度や二度はあると思います。
これは致し方ないことで、光の3原色に比べると、色の3原色は混色をすればするほどその色は暗くなるのです。
もともとのインクの持つ色より明るく鮮やかにならないのは当然で、シアン+イエローを重ねて作る緑色などは、どう頑張っても明るい色を出せません。
そこで、インクジェットプリンタは、再現できる色域を広げるために、機種によってインク自体の色数が4色より多くなっていることがあります。
プロのカメラマン用の機種では9色インクなるものもあるようです。
インクジェットプリンタの性能を引き出すのは「用紙」
インクを塗り重ねていく印刷の世界で「白」と言えば、それは用紙の色のことです。
インクジェットプリンタのインクは、水彩絵具のように下の色が透けて見える性質を持ちます。
ペンキやポスターカラーのように、地の色を覆い隠さないので、用紙の色が全ての基本となります。
ということは、用紙の色がくすんでいたり、黄色みがかっていたりすると、印刷の色も影響を受けてしまいます。
このため、高級な印刷用紙は、白さが際立つ、青みがかった鮮やかな白であることが多いです(このような性質を「白色度が高い」と言います)。
用紙の色が鮮やかであるからこそ、インクを乗せた時にも鮮やかな色が得られるのです。
また、インクジェットプリンタは、文字通りインクを吹き付けますので、にじみやすいのが欠点です。
このため、にじみをいかに抑えられるか、というのも用紙の良し悪しを決める要素です。
例えば、印刷設定を普通紙→専用紙→フォトペーパー→プロフォトペーパーと進めると、段階的に使用するインク量が増えます。
それだけのインク量に耐えられる、つまり瞬時に受け止め、吸収できる用紙でないと、すぐににじんでしまいます。
このにじみを抑える性質は、用紙の表面加工(塗工)の差で決まります。
インクの吸収を早めるために、様々な薬剤を塗り重ね、それでいて光沢感や質感を高めるために工夫された用紙が「インクジェットプリンタ専用紙」として販売されています。
加工されているだけコストがかかり、販売価格も高くなりますが、その分美しい印字結果が得られます。
会議資料に良い紙を使う必要はありませんが、高級さを売りにして高単価な商品に貼り付ける商品ラベルであれば、やはりイメージに合う品質や質感が訴求できる用紙を選びたいもの。
使いどころを選んで、コストとメリットのバランスをとりましょう。
顔料インクと染料インク
インクジェットプリンタの欠点として、にじみやすいことを指摘しました。
なぜにじむのかと言えば、吹き付けられたインクを紙が受け止めきれないからです。特に、表面加工のされていない普通紙(コピー用紙)などが滲みやすくなっています。
したがって、普通紙設定ではインク量が抑えられ、締まりのない、どこかぼんやりとした印字結果となりがちです。
専用紙を使えば解決できますが、毎回そんなことをしていると、ランニングコストが高くなってしまいます。
そこで開発されたのが、にじませないための「顔料インク」です。
顔料インクとは何か
顔料インクは、染料インクに比べると色の粒子が大きいので用紙に染み込みにくく、上に乗せるような形で定着します。
染み込みにくいので、細かい文字の輪郭がくっきりとして見えたり、特に黒の色がくっきりと濃い色で出たりするなどの長所があります。
そこで気になるのは、顔料インク対応用紙と、非対応用紙の違いです。
その差は、顔料インクの固着を考慮しているか否かです。
顔料インク非対応用紙で懸念されることとしては、インクが用紙に固着できず、手や紙同士などで擦れると、印字内容がポロっと取れてしまう症状に見舞われることです。
表面加工が厚く施された光沢紙、レーザープリンタ専用紙、フィルム系の合成紙で起きやすくなっています。
こうした顔料インクと相性の悪い用紙を用いると、たとえ時間をかけて乾燥したとしても無意味で、先の症状を回避することはできません。
とはいえ、顔料インクはすっかり一般的になりました。
黒インクは顔料、カラーインクは染料といった具合に、兼用されている機種もあるのが実情です。
自分のプリンタのインクが染料なのか、顔料なのかは、機種名でインターネット検索をすれば分かりますが、顔料インクだと用紙の選択肢が若干狭まってしまうことは否定できません。
インクジェットプリンタで利用するラベル用紙の選び方
インクジェットなら、当然インクジェット対応のものを選び、さらに、もし顔料インクを利用する機種ならば、顔料インク対応の用紙を選べば間違いありません。
それでは、顔料インクの機種では、顔料インク対応が明記されていない用紙は利用できないのか?
これは一概に言えません。
まず、光沢紙、フィルムラベルは、前述の理由から避けた方が無難です。
一方で、経験上、宛名ラベルなど、文字が主体で、かつ夜の写真など広範囲のベタ塗りがないような印刷内容ならば、普通紙であれば使えると判断して良いと思います。
実際、顔料インクをご利用の皆さんも、普段から普通紙でも多数印刷されているものと思います。
「マルチタイプ」「各種プリンタ対応」などの表記があるものが普通紙に該当します。
なぜ、非対応表記かと言えば、印字結果の安定性はインク、印刷内容、用紙それぞれの要素の掛け合わせとなるため、一概に保証することは難しいからでもあります。
当然ではありますが、やはり本番のデータと用紙、プリンタで試し刷りするのが一番確実です。
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ミモザ取り扱いラベル製品の、顔料/染料対応の見分け方
顔料インクに対応できる商品には、説明文中に「顔料対応」と表記していますが、僅かです。
何も書いていない商品は原則「顔料非対応」です。
ただし、上記の通り、マルチタイプラベルは、場合により充分利用できると案内しています。
インクジェットプリンタで印刷するときのおすすめ設定
マルチタイプラベルなどの薄いラベル用紙
普通紙相当の紙質ですのでそのまま「普通紙」設定で印刷してください。
印刷品質も「普通」で結構です。
カラーインクジェット専用ラベル、光沢タイプ、マットタイプなどの厚いラベル用紙
光沢紙やフォトペーパーの設定で行って下さい。
また、印刷品質も「きれい」を選択してください。
ご参考
EPSON:専用光沢フィルムまたは光沢紙/推奨設定(高精細)
CANON:光沢フィルム、プロフォトペーパー/きれい、カスタム(高品質)
HP:プレミアムプラスフォト用紙/ベスト(最大dpi)
カラーインクジェット専用ラベルは、商品ページに以下のアイコンがついています。
インクジェットプリンタの特性を知ろう
前述のとおり、インクジェットプリンタ専用紙は、インクを多く吸うことができるように表面加工が施されています。
このため、多めにインクを吹き付けてもすぐ吸収することができ、にじみません。
その上、紙そのものも鮮やかな白さを持つため、陰影の強いシャープな表現ができます。
印刷時に「専用紙」や「光沢紙」の設定をすることは、プリンタに対しインクを多めに噴出する指令を出すことなのです。
反対に、普通紙相当のラベル用紙に「光沢紙」などの設定を選ぶと、インクが染み込まず、乾きが遅いので他の用紙と擦れて汚れる原因になります。
プリンタは普段使う道具です。
構造は精密ですが、我々ユーザーがコントロールすべきことは、用紙の特性に応じて、インクをどのように出すのか、適切に指示を出すことに尽きます。
道具のことを知って、うまく付き合えると、作業もはかどりますし、楽しくなってきますよね。
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